退職の手続きを始めようとしたとき、最初に悩むのが「退職届」の具体的な書き方です。
インターネット上には多くのテンプレートがありますが、中小企業の現場では、会社独自のルールや慣習がある場合も少なくありません。手書きなのかパソコンなのか、どのような項目を埋めれば法的に、かつ実務的に不備がないのかを知りたいという声が多く聞かれます。
労務実務の観点から、トラブルを防ぐための標準的な書き方を整理しました。
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目次
退職届の正しい書き方と必須項目
退職届に記載すべき必須項目は、「退職の意思表示」「退職日」「提出日」「署名・捺印」「宛名(社長名)」の5点です。
縦書き・横書きのどちらでも問題ありませんが、一般的には白い便箋に黒のボールペンで記載し、封筒に入れて提出します。会社が指定するフォーマット(規定の用紙)がある場合は、そちらを優先して使用するのが実務上のルールです。
なぜ書面での提出が必要なのか?法的な根拠
民法第627条では、退職の意思表示に特定の書式を求めてはいませんが、実務上は「言った言わない」のトラブルを避けるために書面の提出が不可欠です。
書面(退職届)として提出することで、退職の意思が確定した日と、具体的な退職日を客観的に証明できるようになります。これは、会社側が離職票の発行や社会保険の喪失手続きを行う際の、確実なエビデンス(証拠)となります。
また、就業規則に「退職届を提出すること」と定められている場合、それに従うことが契約上の義務とみなされるのが一般的です。
現場で役立つ退職届の具体的な作成手順
中小企業の現場目線で、ミスなく退職届を準備する手順は以下の通りです。
- 白無地の紙(コピー用紙でOK)を用意する 特別な便箋である必要はありません。A4やB5のコピー用紙で十分です。
- 冒頭に「退職届」と記す 「退職願」は打診段階ですが、既に話がまとまっている場合は「退職届」として作成します。
- 退職理由を記載する 具体的な理由は必要なく、「一身上の都合により」と記載するのが通例です。
- 退職日を自分で決めて記載する 「令和〇年〇月〇日をもって退職いたします」と、自分の希望する退職日を記載します。合意前であっても、まずは自分の意思をこの日付に込めて提出します。
- 自分の署名と捺印を行う 自分の名前の下に印鑑(認印で可)を押します。シャチハタは避け、朱肉を使う印鑑を使用するのが望ましいです。
- 宛名を代表者にする 宛名は自分の直属の上司ではなく、会社の代表取締役社長の氏名を記載します。
※全文パソコン作成でも構いませんが、自分の名前だけは手書きでサインしましょう。これにより、本人の意思であることが明確になります。
退職届を出すときに陥りやすい勘違い・注意点
実務でよくあるミスや、注意すべきリスクを確認しておきましょう。
- 「退職願」と「退職届」を混同しない 「退職願」は撤回が可能ですが、「退職届」は原則として提出して受理されると撤回が難しくなります。最終決定した段階で「退職届」を出すようにしましょう。
- 退職理由を詳しく書きすぎない 会社への不満などを詳しく書く必要はありません。むしろ詳細に書くことで、円満な退職を妨げる原因になることがあります。
- 提出先を間違えない 退職届の宛名は社長ですが、提出する相手は「直属の上司」です。いきなり人事部や社長室に持っていくのは、現場の混乱を招くため避けるべきです。
- コピーを手元に残しておく 提出した退職届のコピー(または写真)を自分の手元に残しておくと、後日「いつ出したか」が問題になった際の備えになります。
まとめ
- 退職届には「退職の意思、退職日、提出日、署名、宛名」の5つを必ず書く。
- 退職理由は「一身上の都合」でよく、具体的な不満は書かない。
- 宛名は社長名にし、提出は直属の上司に行うのが実務上のマナー。
- 証拠として残すために、必ず手書きまたは署名入りの書面で提出する。
- 会社指定のフォーマットがある場合は、それを優先して使用する。
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