「朝起きたら熱がある。今日のお休みを有給にしてもらえるだろうか?」 急な体調不良に見舞われた従業員が最初に抱く不安です。会社としても、当日の欠勤をどう処理すべきか、ルールを明確にしておく必要があります。
今回は、当日の体調不良時に有給休暇を使うための手順と、知っておくべき法律の壁について解説します。

従業員の疑問:当日の朝に「有給で休みます」は通用する?
体調を崩した従業員は、以下のような不安を感じながら連絡をしてきます。
- 当日の連絡でも「有給休暇」として認めてもらえるのか
- 電話ではなくメールやLINEの連絡でも大丈夫か
- 診断書の提出を強制されるのではないか
- 「事後申請」はルール違反にならないか
特に「欠勤(欠礼)」になるのか「有給(給与が出る)」になるのかは、生活に直結する切実な悩みです。
結論:当日の有給振替は「会社のルール(就業規則)」次第です
結論から申し上げます。
法律上の原則では、有給休暇は「前日まで」に申請するものです。当日の急な欠勤を有給扱いにできるかどうかは、会社の就業規則や慣習(福利厚生)で認められているかどうかにかかっています。
多くの会社では、急な病欠を認める運用をしていますが、法律で強制されているわけではないという点に注意が必要です。
根拠:有給休暇は「事前申請」が法律の原則
なぜ「当日でも当然に使える」わけではないのでしょうか。
労働基準法における有給休暇は、労働者が「この日に休みます」と事前に指定することで成立します。会社には「時季変更権(別の日への変更をお願いする権利)」があるため、当日の朝に言われてしまうと、会社がその権利を検討する余裕がありません。
そのため、裁判例でも「事後申請の有給取得を認めるかどうかは会社の自由」とされています。つまり、会社が「当日の申請は認めない(欠勤扱いとする)」としても、直ちに違法にはならないのが一般的です。
実務ではどうするか:急な体調不良時の3ステップ
従業員が当日の体調不良で有給を希望する場合、現場では以下のように動くのがスムーズです。
1. 始業時間までに「まずは連絡」を入れる
有給になるかどうかを気にする前に、まずは「出勤できないこと」を伝えます。
- 連絡手段: 会社のルール(電話、チャット、メールなど)に従う。
- 内容: 体調不良であること、通院の予定、現在の仕事の状況。
2. 「有給扱いにできるか」を確認・相談する
連絡の際に「もし可能であれば、今日のお休みを有給扱いにしていただけないでしょうか」と相談します。
- 多くの企業では、就業規則に「やむを得ない事由がある場合は事後の振替を認める」といった規定を設けています。
3. 出勤後に「事後申請書」を提出する
体調が回復して出勤した際、改めて書面やシステムで「〇月〇日の欠勤を有給に振り替える」ための申請手続きを行います。これを忘れると、給与計算で欠勤控除されてしまう可能性があります。
よくある勘違い・注意点
「診断書」の提出は必須か?
会社が「本当に病気かどうか」を確認するために診断書を求めること自体は、業務命令として認められる場合があります。ただし、数千円の費用がかかるため、1日の風邪程度であれば「領収書」や「薬袋」の確認で済ませるのが実務的な柔軟な対応です。
会社は「当日の有給」を拒否できる
前述の通り、法律上は事前申請が原則です。もし従業員の勤怠不良が著しい場合などに、会社側が「当日の有給振替を認めず、欠勤(無給)とする」と判断することは、ルール上可能です。
連絡なしの「事後申請」は認められない
連絡もせずに休み、後から「あの日は有給でした」というのは通用しません。これは無断欠勤であり、懲戒対象になる可能性もあります。「まずは連絡」が鉄則です。
まとめ
- 当日の体調不良による有給は、法律上の義務ではなく「会社の配慮」。
- まずは始業前に連絡を入れ、出勤後に事後申請の手続きを行う。
- 有給扱いにできるかどうかは、自社の就業規則を確認する。
- 会社側は、急な病欠への対応(診断書の要否など)をあらかじめ決めておくとスムーズ。




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