目次
現場の疑問
- 繁忙期はどうしても月45時間で収まらない。どうすればいい?
- 特別条項さえ出しておけば、何時間でも残業させていいの?
- 「特別な事情」って、どんな理由なら認められる?
原則として残業は「月45時間・年360時間」までですが、これを突破できるのが「特別条項」です。ただし、「健康を害するような働かせ方は、たとえ協定があっても違法」という厳しいブレーキが備わっています。
結論:特別条項は「臨時的で特別な事情」がある時だけ使えます
特別条項とは、予見できない業務の急増などに対応するため、年6か月を限度に「月45時間」の枠を広げるルールです。
しかし、2019年の法改正により、特別条項を使っても「絶対に超えてはいけない上限」が法律でバッチリ決まりました。
根拠:特別条項でも「絶対」に超えられない4つの壁
特別条項を発動したとしても、以下の数字を1分でも超えると、罰則(懲役・罰金)の対象になります。
- 年間の合計: 年720時間以内
- 2〜6か月平均: 休日労働を含めて80時間以内(通称:過労死ライン)
- 単月: 休日労働を含めて100時間未満
- 回数: 月45時間を超えられるのは、年6回(6か月)まで
実務対応:「特別な事情」になんと書くか?
特別条項を適用するには、一般条項よりもさらに具体的な理由が必要です。
- 認められやすい記入例:
- 予算・決算業務が集中するとき
- 納期が切迫したとき(具体的な理由を添える)
- 大規模なクレーム対応、システムトラブルへの対応
- 季節的な需要の変動(年末商戦、お中元時期など)
- NGな記入例:
- 単に「業務多忙のため」
- 一年中ずっと忙しいことが予想される書き方(「臨時的」ではないため)
よくある間違い・注意点
「年6回」のカウントミス
「今月は46時間だった」となれば、その時点で特別条項を1回消化したことになります。これが年に7回発生すると、たとえ年間合計が720時間以内でもアウトです。
「休日労働」を含めるかどうかの罠
- 月45時間・年720時間: 休日労働は含みません。
- 単月100時間・平均80時間: 休日労働を含みます。 この「含む・含まない」の判定ミスで、気づかないうちに法律違反(100時間超え)をしてしまうケースが非常に多いです。
健康確保措置の実施
特別条項を出す際には、「残業が多くなった社員に対してどんなケアをするか」を記載しなければなりません。「医師による面接指導」「連続した休息時間(インターバル)の確保」など、具体的な措置をセットで運用する必要があります。
まとめ(実務の結論メモ)
- 特別条項は「年6回まで」の緊急用チケット。
- 出していても「年720時間」「単月100時間未満」などの絶対上限がある。
- 「100時間未満」には、休日出勤の時間も合算して計算すること。
- 発動した際は、対象者の健康状態をチェックする義務が生じる。
- 「一年中ずっと特別条項」という運用は、法的に認められない。
労務の結論メモ 特別条項は、あくまで「想定外」への備えです。毎年、全社員が特別条項枠まで働いているような状態は、監督署から「恒常的な長時間労働」として調査のターゲットになります。まずは一般条項(45時間)に収めるための人員配置や業務改善が先決です。
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